すでに貸出制度をはじめている自治体もあるが、早急に普及率を高くする思いきった方法はとれないものだろうか。足の踏み場もないような住み方(ひとり暮らし老人の住むアパートの10軒に1軒は必ず見られる)、そこで調理までするような住み方(いまだに七輪を使っている人もいる)などに対する安全指導と一体の対応がとられればより望ましい。火災の背景の多面性は、高齢者の生活の全体性を反映したものであり、住宅対策との連携のほかにも、福祉、保健、教育などさまざまな分野との連携が必要と思われる。
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たとえば福祉対策の一部である緊急通報システムと火災通報システムは一体のものとして整備されることがより望ましい。また、そのためには高度な機器の開発もさることながら、すぐに駆けつけられる近所の人々にも多くを期待しなければならない。これは地域福祉の充実、発展においても同様で、公的なサービスが基本的な役割を果たした上で、よりきめ細かな日常的な支えは、やはり近隣の人々に期待されるところが大きいのである。先にも引用した西ドイツの老人住宅の基準〈居間の窓のひとつが必ず道路に向いていること〉という一項は、この窓が、高齢者が町を見ることで社会とのつながりを保ち、近隣の人々が高齢者を見守る窓であるばかりでなく、非常時の避難や、救助のための窓でもあるのだと改めて感心する。住宅の質のなかに防災の視点が組み込まれているのである。高齢化社会の防火対策はこのように、さまざまな対策の広がりのなかに、防火・防災の視点を組み込んでいくことによって進められなければならないといえよう。