屋根職人がスレート瓦を下ろし、ルーフィング材を剥ぐと、予想通り、合板は結露水をたっぷり含んで、ぶかぶかになっていた。歩くときは、抜け落ちないように用心しなければならないほどだった。私は生まれてはじめて見た光景に驚いて、職人さんに質問した。「結露って、恐ろしいものですね。こんなことはよくあることなのですか?」「ああ、よくあるね。建てて15年もすると軒先が腐っている家が多いものだ」傍らにいた大工さんが、「寄棟でかっこよく造られた家ほど多いね」と言った。
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「なぜですか?」私の質問に父が答えた。「小屋裏に水蒸気がこもると抜けないから、冷えた北側の屋根下地で結露する。小屋裏で東西南北が分からなくても、カビが発生しているのですぐ分かる」合板を剥ぐと、真っ赤に錆びた鉄管と、びしょ濡れのグラスウールが現れた。わずか10年で腐った屋根を目の当たりして、私は、結露の恐さを痛感した。床板を剥いでみると屋根と同じように下地の合板はふやけ、鉄竹に抱き合わせになっている木材の一部は腐り、シロアリに食われていた。奥さんを連れて見に来た肉屋さんは、絶句し、ため息を吐くばかりだった。結局その家の修繕費は、かれこれ予足の3倍以上もかかってしまった。肉屋さんは、不動産業者を通じて売主に抗議し、売主は建てたPホームに抗議したが、Pホームは「家のつくりには何ら問題はない。住み方に問題があったのだ」と主張し、不動産業者は、「家はおまけのようなものだから」と言うだけで一切取り合ってくれなかったという。結露には、窓ガラスや壁面に発生するものと、構造内部に発生するものとがあり、専門的には前者を表面結露、後者を内部結露という。父は、内部結露の被害に注目し、なんとかしてそれを発生させない方法を模索していて外断熱工法に出合った。しかし、現場での工事が始まると、ハプニングや冷や汗の連続となった。