設備に多額の投資をしたからといって、必ずしも高い家賃設定はできません。21世紀に入って、景気が上向いている時期でも、日本の勤労者の所得水準はほとんど上がっていません。今後も大きな伸びは期待できないでしょう。住宅費支出にはおのずと限界がありますし、原油の高騰が問題になっていた頃などは、さまざまな消費物価も上昇しました。「多くの投資をしたのだから、家賃設定は少し高めにしたい」という貸し主の論理は通用しないのです。最後に、アパートは、駅から近い、具体的に言うと徒歩圈に立地することが、需要をつかむ条件です。最近は若者の「クルマ離れ」現象が顕著となってきています。自家用車を所有するのが、大きな負担となっています。燃料代、駐車場代、各種保険料、税金などを合計すると毎月、数万円の費用がかかり、車を持たずに生活できる住宅の需要は、今後ますます強まっていくでしょう。反対に、車を利用しなければ生活できない住宅の需要は少なくなって、価値が低下していくことは避けられません。このような社会、経済の状況から考えれば、分譲でも「売り手」から「買い手」へと主導権が移っていくように、賃貸市場では従来の「貸し手市場」から「借り手市場」へと転換しています。これからは借り手のニーズをうまく汲みとった住宅でなければ空室となります。貸し手が高い利回りを独りよがりに求めていく姿勢は通用しない時代です。
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